スローオンセット災害への対策
かりに巨大津波が来襲したとしても、強烈な地震を感じたあとに1時間以上の余裕があれば、その間に、大勢の人々は避難できるはずである。
今回の津波のように、津波が発生してからそれが被災地に到達するまでに、かなりの時間を要するような災害、すなわち、災害因の発生から被害発生までに時間的余裕のある災害を、スローオンセット型災害と呼ぶ。
2011年6月 被災地にて
今回の原子力事故が原子力災害に発展するまでには、さらに多くの時間的余裕があったはずである。
3月11日2時46分-2時47分に福島第1原子力発電所の1号機から3号機までの原子炉が緊急停止した。
それからほぼ1時間後に1号機-4号機までの全交流電源が喪失して、1号機の冷却システムが停止。
さらにその4時間余り後には、1号機の炉心溶融が始まっているのだ。
GE製のマークⅠ原子炉では、このことは十分に想定できたことである。
この原発災害もまたスローオンセット型である。
そもそも、スローオンセット型の災害は、事後対応が可能なはずなのである。
続く