東日本大震災が発生した3月11日から7ヶ月が過ぎた。
(この文章は2011年10月に書いたものです)
被災した人々の多くは、いまだ立ち直るきっかけをつかめずにいる。
災害の衝撃があまりにも大きかったことに加え、生活の見通しが立たない人も多い。
我々には、大きな災害や事故を生き延びた人たちをサバイバーとして讃えたり、祝福したりする習慣がない。
災害をなんとか切り抜けた人々の中にも、家族や知人を喪った人々がいる。
しかし、彼らは、絶対的破壊の中から、生死の境を越えて、生き残った人々である。
我々の祖先は、過酷な災害や戦乱を生き延びてきたサバイバーであった。
私たちはサバイバーの子孫である。
自分自身を、サバイバーと認識するか、被災者とらえるかで、その後の人生は変わる。
自己規定の転換が必要である。
自らをあえて幸運なサバイバーととらえ、意識を変化させることによってのみ、これから生き抜くべき災害後の世界が開かれてくる。
家族を失い、持てる資産を失い、健康を損なって生きる望みを喪失しているかもしれない。
だが、ともかくも、あの過酷な災害をなんとかサバイブしたのである。
失ったものによって生じた空隙を埋め、人生を意義のあるものにしなければ帳尻が合わない。
終わり