被曝への不安は弥漫びまん的である。そして、とらえようがないだけ、心身への危害性は大きい。下図は、既述の我々の全国調査で、原発事故による放射線への不安の程度を聞く質問への回答分布を示している。「非常に不安である」と「かなり不安である」とを合わせると、日本中で8割以上の人々が放射線への被曝の不安を訴えている。


原発災害の実態は不分明でイメージの世界でしか理解することができない。災害衝撃期は長期にわたり、終息の時期も影響の範囲も科学的に確定できない。すべてがファジーなのである。そして、さらなる問題は、この原発災害が人為災害であると、一般に認知されていることである。被災者は誰が加害者であるかを知っている。責任を追求し、損害賠償を求めるべき相手がある。国や政治家、原子力関連の企業への問責は、水紋状に拡大し、国境を超えて、国際的な原発リスクについての厳しい問いを投げかけている。レベル7の原発災害は、M9.0の地震の被害よりも規模はより大きく、影響はより深刻である。

前回の記事で最も深刻な被害を与えたのは「原発災害」だと答えた人が、全体の55.4%(665人)に達していることを示した。そこでこれらの人々に、原発災害の原因をどう考えるかを尋ねたのである。回答の分布は下図に示されている。原因帰属の順からは、「東京電力の原発に対する安全管理」「津波」「政府の原発に対する監督・管理」の順に事故原因への寄属の程度が減少している。ここから読み取れるのは、原発災害は人為災害だという国民の基本的なスタンスである。